前号は、「なぜFCPの作成が必要なのか」について、原点に返っての整理を試みました。
今回も引き続き、「FCPの目的の明確化」について深めていきたいと思います。
当ホームページのBCP記事(下記)より一部を引用します。
<c.f.>『②BCP基本方針の目的の明確化』
BCPの具体的な目的と課題を明確化(項目の明示と優先順位の明確化)しておくことは、BCPを検討していく過程で振り返る指標ともなります。
BCP策定運用指針には、目標として下記が例示されています。
- 人命(従業員・顧客)の安全を守る
- 自社の経営を維持する
- 顧客からの信用を守る
- 供給責任を果たし。従業員の雇用を守る
- 地域経済の活力を守る
優先順位のトップには当然に「人の命を守る」が来ます。
会社業務における関係者或いは顧客の命を守るということは、経営の「最優先事項」です。
(悔やむことのない判断を明確にして、職場で共有し、納得しておきます。)
次に「会社を存続させるため」がきます。
被災後に経営基盤を存続できなければ、関係者の生活を維持できなくなります。
経営基盤が維持できてこそ、従業員の雇用を守り、顧客筋からの信用も得、社会的責任を果たすことができます。
以上の観点からも、「BCPの基本方針」は「 “最高レベルの経営方針” の表明」とも言えます。
そして次に、方針の具体的な策定においては、下記のような課題が出てきます。
- 平時の30%の従業員出勤でどう対応するか?
--対応人材&人数の検討 - 緊急時、何が起きているか把握できるか?
--情報収集と対応策の案出 - 何が足りないか?
--人、モノ、資金、情報 - 何を何時までにしなければならないか?
--事前対策検討と被災後の対応手順等 - 経営者が被災した場合はどうするか?
--経営者をバックアップできる人材が育っているか? - ----
FCP作成の目的は、その名のとおり「被災後の生活の継続」です。
生活の継続のために、具体的な項目を家族で整理し、確認・共有しておかねばなりません。
FCP作成の基本認識として、再確認です。
- 家族の命、そして関係する人達の命を守る
- 被災後の家の運営維持を考える
- 周囲の人達への配慮も考える
具体的な事前検討項目として、県が提示している家族継続計画に、下記の項目が示されています。
地震発生!?そのときどうする
・緊急地震速報を聞いたとき
・家の中で揺れを感じたとき
・台所で火を使っているとき
・エレベーターの中にいるとき
・外出しているとき
(お店の中・路上・乗物の中など)
家は大丈夫か?
・家の危険箇所を確認・改善しているか
・住宅の耐震診断を受けているか
・倒れやすい家具・家電の固定やガラスの飛散防止対策をしているか
・部屋に応じて家具の向きや配置を考えているか
・通路や出入口付近に邪魔な物を置いていないか
備蓄はできているか?
・避難するときのため、必要最低限の持ち出し品を準備しているか
・水や食糧を3日分程度備蓄しているか
・生活用品の備蓄をしているか
・ローリングストックをしているか
(災害時の補充分のストックについて、賞味期間が早く来るものを使って、使った分の補充を繰り返していくこと。)
・消火器や救急箱が一定の場所にあるか
避難ルールを決めているか?
・自分の住んでいる地域の危険性を知っているか
・避難場所・避難所・安全な避難ルートを確認しているか
・家族との連絡方法や集合場所を決めているか
・防災訓練に参加しているか
・一人で避難できない家族の避難方法を近所等に相談しているか
これらはチェック項目のほんの一例であり、内容は簡単なように感じます。
しかし、これらへの回答は、考えれば考えるほど難しいです。
(模範解答のようなものは一応揃え得ますが--)
また、個々の家族、或いは個々人の生活環境には差異があります。
『防災対策は十人十色』です。
個々に、それぞれの立場で、これらの質問の行間を埋めていく必要があります。
それに、上記質問を見ましても、市町村等の対応は、最後の避難に関する項目が主になります。
それ以外は、個々の家庭、個人の対応となります。