“光”は人の生活或いは活動環境において重要であり、また産業上もいろいろと活用されていますが、ある領域を超えるといろいろな障害が出てきます。
教科書においては、
「“光”は電磁波の一種で、(波長or振動数)は電波とX線の間の領域にある」とあります。
- 可視光(目に見える光)の波長は380~760nm(10-9m)
- 可視光より波長が短い光は紫外線
- 可視光より波長が長い光が赤外線
- 赤外線より更に波長の長いのがマイクロ波(電波として扱われることが多い)
とされています。
そして、“光”は人間にいろいろと有害な影響を与える下記のような特性を持っています。
<“光”の人体に及ぼす影響>
一般的には、波長の長い光(つまり赤外線に近い光)は熱効果、波長の短い光(つまり紫外線に近い光)は生体組織に影響を与える特性を多く持っています。
- 紫外線は皮膚の表層部でほとんどが吸収される。
皮膚は290~300nmの間で吸収率が最大となり、皮膚炎を起こし、皮膚がんの危険性も言われている。
従って、波長の短い紫外線の取扱いには注意が必要である。 - 赤外線(780nm~1.4µm)は、皮膚のやや深部まで達する。
紫外線による傷害
- 目に強い紫外線を照射すると、充血や痛みを起こしたり、結膜炎や角膜炎になる。
- 紫外線(200~315nm)は角膜上皮で吸収され、角膜表層部の炎症を起こす。
- 紫外線(315~400nm)は、角膜を透過し水晶体で吸収され、水晶体が白濁する。
つまり、白内障を起こすことになる。
(溶接作業等)
赤外線による傷害
- 目に入った光のうち、可視光以上の波長の長い電磁波(赤外線他)はすべて網膜に到達する。
その強度により白内障、角膜損傷等を起こす。
例えば、赤外線の熱作用で水晶体のタンパク質が変性して白く濁り白内障を起こす。
(鋳物工場等)
マイクロ波による傷害
- マイクロ波は赤外線よりも生体深部まで侵入し、吸収されて熱になるので、深部に火傷を起こす。
(加熱/接着装置、電子レンジ等)
レーザ光について
レーザ発生装置から放出される光で、通常の光と異なった下記のような性質を持っている。
- レーザ光は波の位相が揃っている。
(通常の光りは、周波数、振幅、位相がばらばらの光の集合体) - 指向性を持っている
(通常の光のように広がらない) - 単色である
(エネルギーが特定の周波数に集中している)
以上のような特性により小さな点にエネルギーを収束させることができる(いろいろな種類のレーザ装置があり、加工、医療、測量などの分野に利用されている)
<レーザ光の人体に及ぼす影響>
光が目の網膜に吸収される度合は、波長が600nm付近の光が最も大きいので、この付近のレーザ光の場合、視力障害を引きおこす度合が大きいが、レーザー光は、その特性により光の傷害の程度を一層強くする。
【光による傷害防止策の例】
- 直接照射されないようにすること。
遮蔽装置の設置、保護眼鏡の着用、溶接面の着用 - マイクロ波のような電磁波に近い性質を持つものに対しては、金属板、金網で囲う
- レーザー光の光路は目の高さを避ける
- 周囲の壁等の光の反射率を高くしない
★生活環境ハザード
日常生活における潜在危険性(ハザード)はいたる所に存在しています。
このハザードへの感受性を高めることが日常における安全衛生管理のスタートラインとなります。