「リーダーシップ論」について ⑥

今まで、経済アナリスト藤原直哉氏の企業文化論について記してきました。
どのような企業文化の組織に身を置くかということは、そこで働く人の人生に大きく影響します。

そして、その企業文化において決定的に大事な要素は「リーダーシップ」です。
藤原先生は、「建設的な文化をつくるために具体的にどうすればいいのか?」について、「建設的文化をつくるサイエンス」として、この“リーダーシップ論”についても言及されています

前号では、「“リーダーシップの技術体系”9項目」のうち、「④動機づけ技術」を記しました。
今回は「⑤問題解決技術」について、藤原先生の示唆を挙げたいと思います。


「問題解決技術」は、常に組織を改善するために必要な技術である。
リーダーは早い段階から潜在的な問題に気づき、その根源となった問題が何であるかに注目しなければならない。
問題解決にあたるリーダーには、下記のような技術が必要である。
・一番大事な問題に焦点を当てる。
・上級管理者に問題の状況を伝えておく。
・最適な解決策を得るために、メンバーに意見を述べるように促す。
・何が間違ったのかを強調し、誰が間違ったのかを強調するのではない。
・問題解決にあたって目標を大きな視野で考える。局所的な最適化は行わない。


問題解決技術についても、いろいろな課題について、いろいろな方法が挙げられています。
経営者・管理者の立場にある人は、常にいろいろな問題に直面します。

“意図する目標”を設定した場合、その目標への努力の過程で障害となる事項を“リスク”と捉え、それを管理していくという考え方は、「リスクマネジメント」ととして語られます。
「リスクアセスメント」或いは、それに基ずく「リスクコントロール」等のリスク処理手順は、広く活用可能な手法です。

「一番大事な問題に焦点を当てる」「メンバーに意見を述べるように促す」は、「危険予知活動(KYK)」に通じます。
直面する課題(業務)について、気をつけなければならない点をメンバーで出し合い、その中から最重要と考えられる事項を絞り込んで、その対処法をグループで共有するという手法です。

「何が間違ったのかを強調し、誰が間違ったのかを強調するのではない」。
これは、「人(人格)を叱らず、間違った“コト”を叱る」ということを常に強調されている小山昇氏の言に通じます。

“リスク”を洗い出し、今までを反省し、リスク対応の優先順位を付けて、“リスク低減対策”を練り実施していく。
それでも解決できずに“残ったリスク”は、常に管理をしていく。
労働災害についてのこの手法は、厚生労働省「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に示されています。

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