今まで、経済アナリスト藤原直哉氏の企業文化論について記してきました。
どのような企業文化の組織に身を置くかということは、そこで働く人の人生に大きく影響します。
そして、その企業文化において決定的に大事な要素は「リーダーシップ」です。
藤原先生は、「建設的な文化をつくるために具体的にどうすればいいのか?」について、「建設的文化をつくるサイエンス」として、この“リーダーシップ論”についても言及されています。
前号では、「“リーダーシップの技術体系”9項目」のうち、「⑧企画組織化技術」を記しました。
今回は「⑨戦略的思考技術」について、藤原先生の示唆を挙げたいと思います。
「戦略的思考技術」とは、組織が社会的責任と財務的責任の両面において、長期的に素晴らしい業績をあげて、健全な人々の集団となれるように長期の計画と戦略を立てることである。
戦略的な思考によって、リーダーは将来のトレンドが分かるようになり、その結果急速に変わりゆく環境に対応した、かつ信頼の置けるシナリオを作ることができるのである。
そのために必要になる技術は、次のとおりである。
- 日々の仕事に忙殺されない。
- 部署ごとに別々の管理をしない。
- シナリオを考えることに時間を割く。
- 短期的なことに対する決断の積み重ねが、長期間の成功を決めるということを理解する。
この「戦略的思考技術」においては、いま大きく変化している経営トレンドの中で捉えることが必要であると思われます。
それは、「成長」という今までの視点の見直しでもあります。
今までは、規模的にも経済的にも、「昨日よりも明日が大きくなる」という“成長思考の呪縛”にとらわれていたのではないかという反省から生まれてきています。
「成長パラノイア」という言葉が使われています。
(大きくなること、多くを得ることは「本能」に合うため、非常に陥りやすい病気です)
(「パラノイア」とは、異常な妄想に囚われるか、強い妄想を抱いた状態であり、「偏執病」と訳されています)
団塊の世代は、戦後の経済成長の中で成長してきました。
「昨日よりも今日、今日よりも明日」という成長感覚があります。
20年前頃より、社会状況は大きく変わっているのですが、今もその観念は根強く残っているように思います。
今は、その大きな見直しの時期ということです。
見直さなければ、次が見いだせないということです。
いまだに続く大企業の規模による成長戦略に、もう値下げ競争では対抗できない状況になってきています。
そして、新たな視点は「人」に向かっています。
自己に根付いた「成長パラノイア性」について反省し、できれば「人」「生活の本質」について考え直し、次を模索していくこと。
当ブログにおいてもこの点を深めていければと考えています。
(勿論、当筆のレベルによる探求ではありますが---)