11月初旬、2件の建築設備メンテナンスに関連した事故がありました。
それから1ヵ月も経っていないのですが、もう過去の事故というような認識が出てきているかもしれません。
『首里城火災』
「10月31日未明に火災が発生、正殿と北殿、南殿が全焼した」と大きく報道されました。
<数日経った記事では>
- 火元とされる正殿1階の北側の焼け跡から焦げた分電盤が見つかっていたことが警察などへの取材で分かりました。
警察は今回の火災との関連を調べるとともに、現場の検証を続けるなどして詳しい出火原因などの特定を急ぐことにしています。 - 警察は、分電盤の鑑定を進めて今回の火災との関連を調べるとともに、今後も現場の検証を続けるなどして詳しい出火原因などの特定を急ぐことにしています。
<1週間後の記事では>
- 首里城火災 分電盤周辺の配線に熱で溶けた痕
- 延長コードは、正殿北東側の大型電気系統設備の分電盤から電源を取っており、同じ部屋に置かれた発光ダイオード(LED)照明器具2つにつながっていた。
数センチずつ細切れになった延長コードと、分電盤に電気を引き込む配線に、ショートした可能性のある痕跡が見つかったという。
いずれも、分電盤から5メートルの範囲内だった。 - 県警や管理する一般財団法人などによると、焼けたのは中庭(御庭)を四方に囲むように配置された正殿や北殿、南殿など。
出火約1時間半前の10月31日午前1時すぎまで、中庭で伝統芸能「組踊」の会場設営が行われていたが、電源は正殿と向かい合う奉神門で取っていた。 - 火元とみられる正殿内を警備員が最後に確認し、施錠と照明などの電源を切って退出した時間について、沖縄美ら島財団は1日の会見で出火確認の52分前としていたが、実際には約5時間前だったと訂正。
出火までの5時間、正殿内を確認していないことになるが、財団の西銘宜孝事務局長は「監視モニターでは人の出入りはなかった」と不審者の侵入を否定した。 - 県警は、正殿やその周辺にある防犯カメラの映像解析や関係者の聴取を進めた。
出火前後、1階北東側で大きな光が点滅したのが分かり、県警はショートなど電気系統のトラブルがなかったかどうか捜査している。 - 那覇市首里当蔵町の首里城正殿など主要7棟が焼失した火災で、那覇市消防局は7日、市銘苅の同消防局で記者会見した。
電気系統設備が最も集中している正殿北東の部屋が出火場所とみており、その部屋の分電盤の床下配線と、分電盤側面のコンセントに取り付けられていた延長コードが見つかった。
その両方に、溶融痕があったことを明らかにした。
今後、消防研究センター(東京都)で出火原因との関連を鑑定する。
一方、延長コードは今年2月から正殿内に取り付けられていたことも関係者への取材で分かった。
市消防によると、木造の正殿は燃え方が激しく、火の巡り方の検証が困難という。
北東の部屋で火災原因の特定につながる唯一の痕跡は床下の配線と延長コードの2点だけだった。 - 市消防によると、床下配線には1カ所の熔融痕が確認された。
火災前は3~4メートルの1本のコードだったとみられる延長コードは、焼けて数センチごとの細切れの状態で見つかった。
30カ所以上の熔融痕が確認された。
当時、正殿内の照明などへ配電するブレーカーは落ちていたが、延長コード側のブレーカーは通電していた。
延長コードには二つの発光ダイオード(LED)ライトが接続されていた。
関係者によると、延長コードは国から県に管理が移行した今年2月以降に設置。
同月に正殿裏手に位置する御内原エリアが開園し、正殿内の順路が変更されたため、足元を照らすための措置だったという。 - 火災発生当時の様子を正殿外の2台の防犯カメラがとらえていたことも判明した。
1台は正殿の北東側にある「女官居室」周辺に設置され、火災直前に白い発光体が映っていた。
もう1台は正殿裏側の「世誇殿」周辺のカメラで、出火直後に正殿から炎が吹き上がる様子が映っていたという。
電気管理関係者なら思うはずです。
分電盤あるいはその周辺の塵埃の堆積が原因で電気関連火災が発生したのであれば、それまでの管理体制に問題はなかったのか?
・電気主任技術者の巡回は?
・管理サイドの日常の管理思想は?
・---
関係当事者の発言については触れられていませんが、責任の所在にも関わる重要な問題でもあり、関係者の気苦労は相当なものだと思われます。
なお、対応として下記のような記事もありました
専門家「スプリンクラー設置など防火対策必要」
首里城の火災を受けて、文化財を復元した建物の防火対策が課題になっています。
歴史的な建物の防火対策に詳しい東京理科大学の関澤愛教授は、「首里城のように過去の文化財を復元した建物は各地で増えてきているが、重要文化財に比べ、規制が厳しくない場合もある。ただ、古い建物でスプリンクラーの設置などの防火対策をするには、コストがかかる上施設に人を入れなくして工事をする必要もあり、二の足を踏んでいる管理者が多いと思う」と述べました。
そのうえで「歴史的な木造の建物は、一度燃え広がると建物全体に広がって消火が難しくなり、首里城のように数十年かけて復元した建物がたった数時間で焼け落ちてしまうこともある。
地域にとってかけがえのない建物を守るという観点では、スプリンクラーの設置などの防火対策を進めることが必要だ」と指摘しました。
『羽田空港国内線第2ターミナルの断水事故』
「11月6日の羽田空港 国内線ターミナルの断水事故発生」
<翌日(7日)朝の記事では>
- 6日午前、羽田空港の施設内の水道水で「塩気を感じる」と連絡を受け、ターミナルビルを管理する日本空港ビルデングは給水を停止し水質検査を行いました。
- 国交省によりますと、このうち第1ターミナルについては、水質に異常はなく、まもなく復旧しましたが、第2ターミナルでは水道水をためる受水槽から塩分が検出され、今も断水が続いています。
この影響で、6日は多くの飲食店が休業したほか、トイレの手洗い場の水が使えなくなりました。 - 運営会社では夜通しで受水槽の洗浄作業を進めていて、7日中の復旧を目指すとしています。
<7日夕方の記事では>
- 羽田空港 国内線第2ターミナルの断水続く 復旧見通し立たず
- 羽田空港の国内線第2ターミナルで断水が続いているトラブルで、ビルの管理会社は、7日中の復旧を目指すとしていましたが、水質検査などに時間がかかり、丸一日以上たった今も、復旧の見通しは立っていません。
- 羽田空港国内線の第2ターミナルで断水が続いているトラブルで、空港施設の管理会社ではこれまでに塩分が検出された受水槽の洗浄をし、新たに水をためる作業を終えました。
現在、この水の水質検査を行っていて、異常がなければ、8日中には供給を再開したいとしています。 - 管理会社では羽田空港内の給水管などの調査を進めていますが、これまでのところ給水管にずれや破損、水圧の低下など異常は見つかっていないということで、引き続き原因を調べています。
<8日早朝の記事では>
- 羽田空港国内線の第2ターミナルで6日から断水が続いているトラブルで、塩分が検出された第2ターミナルの「受水槽」と「洗機場」との距離は1キロ余りで、空港施設の管理会社ではこの付近の給水管などをくわしく調べています。
一方、管理会社では水質検査で異常がなければ8日にも水の供給を再開したいとしています。 - 管理会社や国土交通省などのこれまでの調査で、第2ターミナルの4基ある受水槽のうちの1基からと、旅客機の「洗機場」の水道水から塩分が検出されていたことがわかりました。
この受水槽と洗機場との距離は1.2キロほどで、空港施設の管理会社ではこの付近の給水管などをくわしく調べています。
<8日昼の記事では>
- 羽田空港国内線の第2ターミナルの断水について、空港施設の管理会社は水質検査で、受水槽に新たにためた水に問題はなかったとして、8日午後1時25分ごろから給水を再開しました。これでターミナルビルの断水はすべて解消されました。
- 空港施設を管理する日本空港ビルデングになどによりますと、洗浄した受水槽に新たにためた水について管理会社が検査を行った結果、水質に問題がなかったことが確認されたということです。
<その後の記事>
- 東京都水道局が管理する水道管から塩分は検出されておらず、空港敷地内で混入したとみられる。
空港施設によると、水道管の破損は確認されず、第三者による混入の可能性も低いとみられるが、「原因は調査中」としている。 - 給排水設備の維持管理を担う会社「空港施設」やターミナルビルを運営する日本空港ビルデングなどによると、東京都水道局が供給する水は、地中などの水道管を通って各施設の貯水槽などに運ばれる。
都水道局は6日から3日続けて空港につながる配水管で塩素や濁り具合、においなど水質を調査した。
いずれも異常はなく、担当者は「空港内で塩分が含まれてしまった可能性が高い」とみる。
都は第2以外のターミナルや周辺地域にも、同じ配水管で水を供給しているが、苦情は寄せられていないという。
結局原因は何だったのでしょうか?
原因が判明せず、現状の水質に異常がないから給水を再開したということでは--再発の可能性は無いのでしょうか?
一般の報道では管理の内容については深く立ち入られていませんが、
責任当事者となる設備(施設)管理担当者の気苦労は相当なものだと推察されます
同時に、何か間接的な原因がバックに潜んでいるのでは?という同情の心も起こってきます。
--経費削減による担当者の負担増? 上層部の無理解? 等々
詳しいことは報道されませんが、最近の番組「ジコチョー」のような突っ込みは欲しいのですが---
それにしてもメンテナンスに当たられている担当者の方々のご苦労(ストレス)が察せられます。