「危険予知」について

−−雑誌「安全と健康2000年4⽉」平成11年4⽉22⽇最⾼裁第⼀⼩法廷判決:コメントより−−

多くの裁判例からみて、裁判所は、「危険予知」に関しては、現実に危険を予知していたかではなく客観的に予知可能であったかであり、「労働災害の防⽌に万全を尽くす」というのは、およそ考え得るすべての⼿段を尽くすという考え⽅に⽴っているように思われます。

安全衛⽣の実務に携わる者からみますと、非常に厳しい考え⽅であると思われるかもしれませんが、保護されるべき法益が⼈の⽣命・健康であるということに思いを致せば、やむを得ないのかもしれません。

従って、事業主としては、労働災害が起こり、安全配慮義務違反で提訴された場合は、上記のような厳しい考え⽅に⽴って判断されるであろうということを前提に、種々の安全衛⽣対策を講じておく必要があるということになりましょう。