脚立作業① 蛍光灯取り替え作業中、脚立より転落した災害事例

<災害事例(業界関係書籍より)>

踊り場の蛍光灯取り替え作業で、器具位置が高く、脚立の天板面に立ち作業をしていて、バランスを崩し仰向けに転落し、後頭部を打撲した事例。
被災者は68歳。
(頭蓋内損傷による死亡)

脚立の位置が蛍光灯の真下になく、かつ、踊り場が狭く天板の向きが蛍光灯に対して斜め位置であったため、極めて不安定な姿勢で作業を行っていたと推定されるとのこと。

高齢者の災害要因 調査によると、次のような項目が挙げられています。

①平衡感覚が不安定なため、体のバランスを崩しやすい。
②瞬発力が低下するため、瞬間的な身のこなしができなくなる。
③異常・緊急時の認知の遅れや対応が遅くなる。

以上のような機能の低下により、高齢化とともに、つまずき・転倒・踏み外し、墜落・転落、挟まれ・巻き込まれ等の災害の発生可能性が高くなります。

脚立作業の災害防止対策としては、次のような項目が挙げられています。

<脚立:作業前確認事項>

  • 開き止め金具を確実にかける
  • 設置場所の位置、水平、凹凸等の安定を確認する

<脚立:作業時注意事項>

  • 作業は、原則として2人で行う。
  • 脚立上での作業時及び昇降時は、他の作業者が脚立を確実に保持する。
  • 下の者は、脚立上で作業する者が使用する工具、資機材の受け渡し作業を担当する。
  • 脚立の天板に立って作業をしないこと。
    特に、高さ85cm以上の脚立では転落時の危険性が増す
    (脚立には「天板に立たないこと」の注意書きが貼られている)
  • 脚立上で重量物の取り扱いおよび力のかかる作業はしない。
  • 高所部で作業するときは、天板にまたがり、腰を下ろし、安定した姿勢で作業する。

<脚立:作業環境注意事項>

  • 通路又はその近くで作業するときは、衝突防止等のため表示を行う。
  • 出入り口の近くで作業をするときは、ドアの固定、危険表示、通行止め等ドアの開閉による危険防止の措置を行う。

階段或いは踊り場にある照明は高所にある場合が多く、踊り場の広さ、階段の方向転換部の段差等床面の状況、また階段の配置関係で落差が大きくなる場合もあります。
はしご・脚立等を使用しての階段照明蛍光灯の取り換え作業は、無理な姿勢、危険な状況になるケースがあります。
状況によっては、難作業となるケースもあり、安易な作業として取り扱わないことです。
強固な足場の設置、保護帽、ハーネス型墜落制止用器具の使用等、事前の準備が必要です。

脚立作業は日常的に行われており、ヒヤリ・ハットを経験された方は多いのではないかと思います。
身近な作業ですが、「死亡災害に至るリスクの大きな作業」という認識が必要です

また、高さ2m以上の作業は高所作業として労働安全衛生規則518条で対向事項が定められていますが、2m未満の脚立でもケガにもつながりますし、状況により会社に安全配慮義務違反が認められることもあります。

※なお、傾斜角40度以上から落ちた場合は、「転落」ではなく「墜落」となるとのこと。