③中核となる電気設備

『中核となる技術』

今まで、①②で建築物管理における地震・台風・火災・その他自然災害等のリスクを考えてみました。
日常の建築設備管理においても、構造・強度・外壁の落下等の建築物に起因するリスクもありますが、建築設備を大きく下記のように分類して、設備管理におけるそれぞれの事故災害のリスク要因を検討することができます。

○電気設備による事故災害
  • 感電
    感電による死亡災害等が毎年報告されています。
  • 火災
    電気設備管理不備による電気火災についても毎年発生しています。
  • 波及事故
    自施設内におけるリスク対応は勿論ですが、地域へ迷惑をかける波及事故も重大問題(課題)となります。
  • 雷への対応
    電気設備においては、地震、水損等と並んで大きな問題(課題)が雷です。
    直撃雷による被害の他、雷サージの侵入による絶縁破壊をはじめとする種々の障害が考えられます。
    瞬時電圧低下による機器の停止等のトラブルもあります。
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雷はヒヤヒヤものです!
電気設備管理の関係者は、雷の発生を予期すると、
対応拠点に位置しその異常対応の待機体勢をとります。

○空調換気設備における事故・災害
  • (人の活動環境における)空気に関連する事故・トラブル
    例:煙排気の不完全による一酸化炭素中毒 等々
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空気環境に関するクレームは、日常において最も多いトラブルと思われます。

○給排水衛生設備
  • 飲料水関係事故
    例:飲料水汚染(クロスコネクション等)
  • 排水関係における事故
    例:硫化水素の発生等
  • 水系統のその他のトラブル
    --水配管の漏水・破裂等による水損の発生
    --消火活動による水損
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人の生活環境における水に関するトラブルは、即健康被害に関わるケースとなることが考えられます。

○燃料関連事故・トラブル
  • 爆発
  • 中毒
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発生すれば被害甚大です

○消防防災設備関係事故
  • 自動作動シャッターによる事故(防火シャッター)
    --シャッター作動時の逃げ遅れ死亡事故(回避ドアへの周知不足) 等
  • 排煙不完全
  • 防災防犯設備の不備によるトラブル
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○その他建築設備関係事故
  • 火災時等における排煙等建築に依存するリスク
  • 昇降機等各種設備による事故・トラブル
    --エレベーター等昇降機事故
    --シャッター、扉関係の事故
    --駐車設備に関する事故
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以上は思いつくままに、事故・トラブルを列挙してみましたが、挙げれば切りがありません。
(多くの犠牲・損失のもと、個々の改善が積み上げられてきています。)

これら建築設備事故への対応において、駆動・制御・情報系で電気設備が関係しています。
事故災害の発生予防及びその発生時における「電源供給の確保」は、火災、水害等の機能不全を引き起こす問題点(危険源)対応と共に、設備管理における最重要課題です。

【電源供給の確保】
・電気の供給が無ければ建築物は機能できません。
--ただの箱となってしまいます(どこかで聞いたフレーズですが--)
・東日本大震災における福島原発事故での制御電源の喪失は大きな教訓です。


設備管理上の課題については、いろいろな技術的工夫・診断技術等が検討・採用されていますが、電気主任技術者の業務課題は最重要領域と考えます。