建築設備環境管理業務(BM)のこれからについて、思うことの一部を記して、このBM関連の記事をひとまず終わりにしたいと思います。
BM業務におけるリスクアセスメント等について
「業務を遂行できていない(要求される管理品質をカバーできていない)」ことによるリスクについて、
それは「当然に要求される暗黙裡の合意事項としての品質保持」とも言えると思いますが、以前から思っていました。
例えば--
- エネルギー管理における当然にカバーしなければならない管理レベルについて。
省エネに関する事項について、改善提案をしなかったことへの責任論が出たとしたら?
--電力料金の高騰に伴い再度省エネの熱が高まるかもしれません。 - リスクアセスメントにおいて、リスクの評価軸としての「回避可能性」について。
組織の実力評価の指標の一つとして取り上げられないか?
--この管理レベルの課題については、“環境管理の5要素(安全・衛生・快適・利便・経済性)”についての評価軸も明確になってくるかもしれません。
業種は違いますが、設備工事業において下記のような例があります。
担当者の習熟度能力評価に「配管計装図が読める、図面を見て緊急対応ができる、機械の構造と外観からほぼ理解できる」などの項目を入れ、業務を行う上での高い技術レベルを求めることで、設備関連の災害防止などにも繋げている。
⇒この教育指導として
担当者に「Know Why(「なぜ、そうなるのか?」と疑問を持ち、その理由を知るように)と話し、作業や安全への理解を深められるように努めている。
またBCPの内容とリンクしながらBM設備管理を考えていくと、いろいろな課題が浮き上がってくるようになります。
BCP検討時の企業活動をBM業務の立場で深めていくと言い換えることができると思います。
以上の他にもいろいろと考えられます。
AIがBM設備管理においても身近な存在となるのも近いかもしれません。
また、雑誌「安全と健康 2020/03」に取り上げられていました[列車見張り専門の会社における安全管理活動の事例」が記憶に残っています。
人への管理が主となる業種での活動内容で、参考となるかと思います。(要点列記してみます)
○設立当初の労務管理における「人への対応の行き詰まり」という問題点
- 遅刻や交通事故などのトラブル多発
- 頭ごなしの注意
--怒って人は減ることはあっても、ミスが減ることはなく、悪いスパイラルに陥っていた。
(社長の反省)
○ゼロ災運動との出会い
<ゼロ災運動の理念>
- 「一人ひとりカケガエノナイひと」
→人を尊重する - 「トップの率先垂範」
→率先して行動する - 「全員参加」
→全員に目を向ける
⇒「ゼロ災運動で会社が良くなっていくのでは」という一筋の光
○社長の決意と実践
- やるならトコトン
--企業理念や行動指針にゼロ災運動の基本を取り込み「日本一安全な列車見張り専門会社」を目指す。 - 教育/研修に注力した
--見張り訓練、KYT4ラウンド法、ワンポイントKY等
チーム討議(気づきを目的--自分の意見を本音で出し合う)
内容は凡事徹底、チームワーク、コミュニケーション等
--唱和、指差し呼称、オアシス運動
--各自目標の発表
--TBM(ツールボックスミーティング)
--終礼は「ヒヤリ・ハット」「グッドジョブ」「ありがとう」報告
--各班のリーダーは打合せ等の内容をメール等で報告 - 積み重ね(13年間欠かさず継続)が安全の力となっている。
○注意した点
- 正しい手法の徹底実践
--正しい手法の意味を知り、納得した上で実践
(手抜きは行動に表れる--それを見抜くのがリーダーの役割)
--正しい手法の相互チェック
「継続は“トップの覚悟”で決まり、社員の理解でその内容は深まる」
そして、「身近な正しい手法の徹底実践から経営改革は始まる」とも言われます。
重要な示唆を与えてくれる事例だと思います。