前号に引き続き「職長教育講習の内容項目」の「⑥整理整頓と安全衛生点検 ⑦作業手順の定め方 ⑧作業方法の改善」について、まとめる(統括する)立場である設備管理責任者の業務と関連付けてみたいと思います。
何らかのヒントとなればと思います。
詳しくは、これをきっかけに、テキストに当たられて、その内容を確認願えたらと思っています。
「職長の安全衛生テキスト」(中央労働災害防止協会)
⑥整理整頓と安全衛生点検
<整理・整頓>
整理・整頓について、その必要性が示されています。
整理整頓の悪い職場の例が示されていますが、これらを反転して考えていけば、その方向性が見えてきます。
整理・整頓の悪い職場 |
---|
職場に不要物がたまり、片付かない。 |
職場が狭くなり、ムリな姿勢になるなど不安全行動の原因となる。 |
置き場と作業場の区別がハッキリしなくなる。 |
職場が乱雑になり、不快感を与える。 |
必要な物を探すのにムダな時間がかかる。 |
<安全衛生点検>
安全衛生点検については、日常の巡視点検、及び定期点検が該当します。
先ずは、電気事業法・消防法等の法令により定められている点検基準等の遵守が第一となります。
各種資格者の選定が必要な場合は、その資格者の管理の下での展開となりますが、電気保安規程のように点検項目が具体的に定められているケースも多くあります。
契約関係で細かく点検項目が定められている場合はそれを遵守します。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づく環境測定において、その測定結果を管理基準をもとに確認し、適合化対応していく業務もこの範疇だと思います。
年間計画を立て、それを月間計画等に落とし込み、計画的に実施していくことになります。
以上一般的概略ですが、これらは設備管理業務の核心部分を構成するものです。
⑦作業手順の定め方
作業手順の作成は現場を最も詳しく知り得る立場の人が中心となって作成する必要があるとして、作業手順の定め方が示されています。
大筋の手順については各現場共通の事項も多く、標準的な手順は流用できますが、各現場固有の部分を見出し(できればリスクアセスメントにより、管理リスクを検討の後)、それぞれの現場に則した手順を作成していくのが設備管理責任者です。
各現場の手順書の上位に位置する「作業標準」等は業界或いは会社の上位組織で定められていると思います。
また、作業手順書が備えるべき必要な要件も、標準的な作業手順として示されていると思います。
また、作業手順書を作成するに当たってのポイントとして、作業を「まとまり作業」「単位作業」「要素作業」に分けて捉えるという手法が示されています。
作業手順書をひとつの「まとまり作業」で捉えるとしても、そのまとまり作業はいくつかの「単位作業」を組み合わせて構成されています。
その単位作業について検討を加えておくと、他の作業手順書にも活用出来るようになります。
また、その単位作業を構成する基本動作等の「要素作業」についても同様に考えられます。
そして、それら「単位作業」或いは「要素作業」について、今までの経験上、或いは安全上、品質保持上等の注意すべき事項をその理由も付して記載しておくことがポイントとなります。
上記検討は、異常時や災害時の作業(後述の⑨⑩)においても有効です。
そして、以上の検討結果(作業手順書)を、教育訓練に活かしていきます。
新人教育においては、基本的な要素作業から始めるということも示されています。
またベテラン作業者には、手順書の作成から参画してもらい、メンバーへの教育を担ってもらうという配慮も記されています。
以上のように作業手順についての検討は、日常における最も身近な管理業務でもあります。
⑧作業方法の改善
上記⑦の作業手順書の周知も含めて、作業方法について継続的な検討が必要となります。
つまり、定期的なチェック、そして見直し・改善というPDCAのサイクルを回していくことが必要です。
また、作業者の異動等も含めて、作業環境は経時的に変化していきます。
よって、それに合わせて作業方法も変えていく必要が出てきます。
これも設備管理責任者の仕事です。
特に下記のような場合は手順の見直しを迫られていると受け取る必要があります。
- 事故・故障が発生したとき
- ヒヤリハット報告を受けたとき
実際にヒヤリハットに遭遇したケースのみならず、ヒヤリハットを想定できる場合も含めて検討します。 - その他「やりにくい作業」「指示が行き届かない傾向のある作業」「無理な姿勢が発生する作業」等がある場合
作業手順の改善法として、下記のような4段階法も例示されています。
- 今行っている作業を手順ごとに分解して現状把握する。
- 手順ごとに自問する
- 自問の結果をもとに改善の着想を展開する
- スムーズに実施に移すための手順を具体化する
<以下⑭に続く>