前号に続いて、私たちの検討すべき災害リスクは? ということで、
「地震」「風水害(台風・豪雨)」「火災」を取り上げて、
これらの災害のハザード(危険要素)を検討してみたいと思います。
当ホームページBCP記事(下記)より一部を引用します。
<c.f.>『③絞り込んだリスクのハザード分析』
企業の立地状況等にもよりますが、まず「地震」「風水害(台風)」「火災」が挙げられると考えられます。
ここでは、この3災害について、それぞれの「ハザード」及び「ハザードによりもたらされる危険事象」を検討してみたいと思います。
地震によるハザード&危険事象
- 地震動(揺れ)
・家屋倒壊--負傷、圧死
・家具・設備・備品等の移動--負傷、圧死 - 地震による液状化の発生
・家屋倒壊--負傷、圧死 - 地震に起因する火災
・初期消火の失敗、通報の遅れ、避難遅れ--焼死、一酸化炭素中毒死、負傷 - 津波による浸水
・水没--水死、水損
風水害によるハザード&危険事象
- 台風(雨・風・洪水)
・水没・浸水--水死、水損、家屋破損
・漏水--家屋破損、水損 - 集中豪雨(雨・洪水)
・水没・浸水--水死、水損、家屋破損
・漏水--家屋破損、水損
火災によるハザード&危険事象
- 火災の発生
・避難遅れ、初期消火の失敗、通報の遅れ --焼死、一酸化炭素中毒死、負傷
・財産の損失
・社会的責任問題の生起
☆出火起因物、事前対応不備の検討
以上例示の他にも各企業に独自の「ハザード」及び「危険事象」が考えられると思います。
検討の結果は、「インフラ&会社に与える影響表」を作成し整理していきます。
★一つひとつの事象について考えていくことになります。
被災後の状況を考え、資金繰り、取引先及び同業他社の対応を想定して、内容を深めていきます。
以上に挙げた「地震」「風水害(台風・豪雨)」「火災」は、生活の場においても、まず最初に考えられる災害です。
現実に、ほぼ毎年発生して大きな社会問題となっています。
従って、いろいろな災害対応情報があり、その内容も分かり易く、充実しています。
要は、如何にそれを自分の立場で、対応を掘り下げて考えていくことができるかということです。
以上に取り上げた各災害において、以下のようなハザードが挙げられています。
- 地震
「地震による地盤の揺れ」「液状化による地盤の傾き」「津波による破壊・浸水」「生活の場における“火”」 - 台風・集中豪雨
「水位上昇」「風圧力」 - 火災
「火の猛威」
そして、これらのハザードは、生活の場において、家屋倒壊・浸水等々危険事象として、「人の命・財産」に大きな害を及ぼします。
対応策は?
各自の置かれた状況(生活環境)において、一つひとつのハザードによる危険事象について、検討を加えて、対策をとっていかざるを得ません。
「地震による地盤の揺れ」というハザードについては、家屋倒壊、家具の飛来、避難困難、重要物の破損等々の事象が思い浮かびます。
このように、一つひとつ思いを巡らせ、対応策を考えていかないことには始まりません。
(対応策検討の結果は「影響表」としてまとめていきます)
そして、最終段階は、「命を守るために“安全な場所への避難”」となります。
ラジオからは「命の危険が迫っています、非難して下さい」「自分の命を守って下さい」という放送が繰り返されます。
そのとき、「自分の居住地全域を対象にこの放送が流れても、どこへ非難すればよいのか?」
「逃げる場所がない!」というようなことではダメだということです。
しかし、現実は難しいです。
地域全体にパニックが起こるかもしれません。
従って、事前に準備しておくことが必要となります。
「重要だと判っているけど、緊急切迫したものでもない、それよりも目先のやらなければならないことを先にしよう」ということで後回しになりがちですが---。
そして、事後に反省(後悔)します。
「あの時、しておけば良かったのに!」
この思考パターンはほぼ決まっています。
それが人の常でもあります。
当筆のブログ「津波『釜石の中学生の“ひと言”』」でも取り上げましたが、「正常化の偏見(正常性バイアス)」という心理も同じです。
これが人間の本質という面もあり、この心理で今まで人類は、細かなことに煩わされず、生き延びてきたのだとも思います。
しかし、その裏で多くの滅んでいった人達もいたということは忘れ去られています。
「生き延びてきた。だからこれからも大丈夫だ!」という心理は、生き延びた者の、悲しい過去を忘れたい言い訳なのかもしれません。
だけど今現在、これから先は(ある程度リスクは想定でき得ますが)不明です。
私たちは今の立場での対応策を真剣に考えなければなりません。(自戒を込めて)