前号は、私たちの検討すべき災害リスクは? ということで、
「地震」「風水害(台風・豪雨)」「火災」を取り上げて、
これらの災害のハザード(危険要素)によりもたらされる危険事象を挙げました。
今回は、それらの危険事象によりもたらされる「生活上の困難事象」について見てみたいと思います。
当ホームページBCP記事(下記)より一部を引用します。
考慮しておくべき事項(困難事象)として下記例が挙げられています
【考慮しておくべき視点 例(インフラ&企業):困難事象の考慮】
ライフライン
- 電気、水道、ガスの停止
←設備管理業務の重要項目
情報通信
- 電話、インターネットの使用不可
←分散した現場の把握と指示の方法
←情報収集・発信手段の確保
道路、交通機関
- 津波、家屋倒壊等による道路・交通機関の使用不可
←遠隔者の活動阻害
人
- 従業員の勤務困難(3割程度の稼動)
- 従業員等の負傷
←安否確認ルールの整備
←代替要員の確保
※設備管理・施設管理業務は「人」の面が大きなネックとなる!
情報
- パソコン等情報機器の破損
- データ等重要書類の損失
←重要データの適切な保管
物
- 建築物・設備の破損
倒壊、浸水、転倒、落下 等々
←設備の固定
←代替方法の確保
金
- 売り上げの低下
- 運転資金の不足
- 復旧費用の不足
←緊急時に必要な資金の把握
←現金・預金の準備
検討の結果は、「インフラ&会社に与える影響表」に整理していきます。
★一つひとつの事象について考えていくことになります。
被災後の状況を考え、資金繰り、取引先及び同業他社の対応を想定して、内容を深めていくことになります。
以上の各項目は身近なものであり、具体的に家庭(家族)視点で考えられます。
「どうしますか?」ということです
電気・水道・ガス等の「ライフライン」は当然止まるとして考えなければなりません。
それらが停止すれば、即時に生活は困難をきたします。
「通信手段」も途絶えます。
通信できるとしても、その手段が大幅に制約されます。
家族間の連絡も取れない状況に陥ることが考えられます。
「道路・交通機能」も麻痺してしまいます。
道路がふさがれ、物の流通ができなくなります。
「ひと山越えれば別世界の感がする」とは、グレートトラバースの田中陽希さんが三瓶山麓の旅館で地震(2018年4月9日)に遭遇した翌日トラバースを続けて広島県へ入ったとき、正常な生活が営まれていることを見ての感想でした。
「人」については言うまでもなく「生きていること」が第一目標です。
周りの人達の消息をまず確認したいところです。
「情報」については--
重要書類或いはパソコン内のデータは維持されているか?
「物」については--
建物・家具の損壊状況は?
傾き?水没?
少し落ち着けば、状況を確認しなければなりません。
「お金」は--
手持ちのお金の散逸はないか?
現金/小銭も必要といわれます。
--例:キャッシュカードを持って逃げる(移動式ATMの活用)
以上については、いろいろな機関から、多くのサバイバル情報が提供されていますが、聞き流しになっていませんか?
発見したのですが「徳島県の情報に家族継続計画」というのが出されています
当ブログと同じ主旨でFCPが言われています。
内容は、日頃から被災について話し合っておきましょうというものです。
「地震 その時どうする?」
「備蓄はできているか?」
「家は大丈夫か?」
「避難のルールは決めているか?」
https://anshin.pref.tokushima.jp/docs/2016062200027/
このような公共機関の発している情報は結構知られていないのではないでしょうか?
或いは当筆の怠慢でしょうか--
しかし、前回も記しましたが、
サバイバル後の生活・運営について考察を加えておくことは自治体の災害情報とは次元が異なります。
一つひとつ思いを巡らせ、対応策を考えていかないことには始まりません。
(対応策検討の結果は「影響表」としてまとめていきます)
なお、震度6以上の地震被害について、「中小企業BCP策定運用指針」の参考資料にライフラインの復旧日数の目安が示されています。被害の状況また地域により異なるでしょうが、計画時の参考となります。
水道 | ガス | 電気 | |
震度6弱 | 7日 | 15日 | 1日 |
震度6強 | 15日 | 30日 | 2日 |
震度7 | 30日 | 45日 | 4日 |
数日間が目途と言われます
しかし、巨大地震の場合は、援助も遅れると考えておく必要があります。
上記表の倍の日数程度を想定しておくくらいのことは必要と思われます。