NHKラジオ「健康ライフ」において、群⾺⼤学名誉教授⾼橋久仁⼦さんが「フードファディズム」について話されていました。
その内容は、マスコミの影響についての興味深いものでした。
「フード:food」は⾷べ物。
「ファディズム:faddism」は熱狂的に信じること。
つまり、フードファディズム(food faddism) とは、
「⾷べものや栄養が健康と病気に与える影響を、熱狂的、あるいは過⼤に信じること。」となります。
そして、このフードファディズムは⼤きく3つのタイプに分けることができるとのことです。
- 健康に好影響を与えるとして⼤流⾏すること
- ⼤量にある物質を与えたときに出てきた影響を、量のことを考えないで、「良い」とか「危険だ」とか⾔ったりすること
- ⾷に対する期待、或いは不安をあおること
例として
「納⾖を⾷べるとやせる」−−−2007年
「バナナを⾷べるとやせる」−−−2008年
これさえ⾷べれば健康になる、キレイにやせられるとか⾔って広まること。
納⾖やバナナには、⾷べればやせるというような危険な物質は含まれていません。
量的な⾯においても、⼤量に与えて出てくる影響も、少量では多くの場合は出てこない!
ある物質を⼤量に与えたときに出てきた影響を、「その物質が含まれているから体に良い」というように⾔う!
逆に有害な物質が含まれている場合、有害性を発揮するまでの量は含まれていないのに、「その物質が含まれているから有害だ」というように⾔う。
例えば、⽔を考えてみると−−−
分析精度が上がったために、有害物質も計れば出てくるようになる。
そうすると、「この⽔は危険だ」というように⾔う。
でも、量を考えれば危険性を発揮するような量ではない。
また、タマネギにおいては−−−
タマネギを⾷べると⾎糖値が下がると動物実験で確かめられている。
では、タマネギを⾷べると⾎糖値が下がるかというと、とてもタマネギを⾷べてその効果を発揮するだけの量を摂取することはできない!
動物には、その栄養素の⼀部を抽出して与えているのであり、⾎糖値を下げるだけの栄養量のタマネギを⾷べることができるかというと、それはとても無理。
換算すると、体重50kgの⼈で、1⽇50kgのタマネギを⾷べる必要がある!(⾃分の体重と同じ量のタマネギ!)
つまり、これらは「定性的にものを⾔って、定量的に考えていない!」
思い当たることがたくさんあります。
冷静になって少し深く考えれば、気付くような⾯もありますが、影響されやすいです。
しかしこれは、私たちの周りには、弱みにつけ込んだ多くの“扇動的⾔葉”があふれているということです。
これらに惑わされて、無意味な⾏動をとるようになると、場合によってはこれらの⾔葉は「リスク要因」と⾔えるようになります。