「FCP:“復旧ストーリーの事前検討”について」<22>

災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷しないこと」は最優先ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討しておく必要があります。

各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。

この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)

前回は、「事前対策」における「重要データの保管&資金面の確保他」についてでした。
今回は「復旧ストーリーの事前検討」について考えてみたいと思います。


企業においては「復旧ストーリー」を事前に検討しておくことは事前対策として意味のあることであり、またそれがBCP策定の一つの目的でもあると思います。では、家庭においてFCPとして、どのように考えるのか?
「自分と家族、そして仲間が助かること」が先ず第一ですが、「その後の生活」についての「家族の復旧シナリオ」とは?
BCPの関連記事『復旧ストーリーの事前検討について』を引用してみます

「中核事業の復旧目標・復旧時間」の事前検討

目標(復旧イメージ)がないと適切な行動を起こすことができません。
復旧ストーリーを描いておきます。
--実際に当たっては、被災状況を判断して再設定するケースが出てくることを想定しておきます。

中核事業の目標復旧時間はどの程度を想定するか?
・中核事業に係る情報の把握について
・事業継続に係る各種資源の代替の情報等について

重要業務についても復旧目標時間を検討しておく必要がある。
・各業務について、取引先等の意向を把握する必要がある
・設備管理部門は、ライフライン復旧時の即時対応が迫られるであろう
--電気設備の点検、修理、復旧
--水道設備の点検、修理、復旧
--ガス設備の点検、復旧
--

【復旧における事前検討事項(一般)】

業務の復旧について、事前に想定・検討しておく
・人材の確保状況の把握
・法令、規制等の要求事項
・顧客サイド、社会からの要請事項
・被災状況により上記事前検討事項の柔軟な変更対応(レジリエンス)
--状況変更対応について
--情報の収集等々
--指示内容の妥当性判断
・近隣企業との連携
・遠方企業との連携

以上のBCPにおける「復旧ストーリーの事前検討について」の記事にも示されている
「業務の復旧」について、事前に想定・検討しておく項目
--状況変更対応について
--情報の収集等々
--行動の妥当性判断
近隣との連携
遠方との連携 等々

災害の状況が設定できない時点での検討になるため、いろいろと想像してみることになりますが、その想像すること自体が「考察を深める」ことになります。

避難がひとまず落ち着いた、命が助かった、皆の避難状況も確認し得た。
「その後どう被害を克服していくのか?」の事前検討です。
(被災状況によって、その方向付けは大いに変わることになりますが、ひとまず被害設定をして、イメージ化してみようということです)
状況によっては、避難施設での共同避難生活に入るか、或いは自宅等での生活になるのか---。
そのような状況下で、どのように対応していくのかを考えてみることになります。

被災状況により柔軟な変更対応(レジリエンス)が求められることになりますが、事前の検討によりその対応に余裕が持てるようになるのでは--と思います。

【鳴門市のフェーズフリー授業】==NHK徳島の記事から==
南海トラフ巨大地震に備え、徳島県鳴門市は日常と災害時の垣根をなくす「フェーズフリー」の考え方を、ことしから全国で初めて本格的に学校現場で導入することになりました。
鳴門市では、日常と災害時の垣根をなくし、ふだんの暮らしに災害への備えを組み込む「フェーズフリー」の考え方を浸透させようと、市の防災計画に取り入れ独自の取り組みを進めています。
市では、さらに今年から市内に31あるすべての幼稚園と小中学校の防災教育で、「フェーズフリー」の考え方を本格的に導入することになりました。
具体的には、教員向けに「フェーズフリー」の授業での活用方法を示したガイドブックを作成し、各学校に配布します。
この中では、津波の速さを問題に取り入れた算数の授業など学科ごとの導入事例が紹介されていて、市は授業で使ってもらうよう校長や園長が集まる会議で協力を求めることにしています。
フェーズフリーの普及に取り組む団体によりますと、鳴門市のように全市をあげて防災教育に取り入れる自治体は全国で初めてだということです。

学校での「防災と関連付けたフェーズフリー教育」、有意義で面白い試みだと思います。
企業においては「BCPの内容を現場業務等への関連付け」ということになりますが、いろいろ考えられるのではないかと思います。

(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害対応への駆り立て」でもありますが、皆様のFCPを考えるきっかけともなれば幸いに存じます。)