長野県軽井沢町の国道18号「碓氷(うすい)バイパス」入山(いりやま)峠で1月15日未明に起きた、運転手2人を含む男性10人と女性5人の計15人が死亡した大惨事となったスキーツアーバス転落事故。
発生からまだ1ヵ月しか経っていないのに、過ぎ去った出来事のように感じるのは当筆だけでしょうか?
この事故の第一報の驚きとともに、その後の詳細情報とその事故の背景が判るにつれて、事故そのものへの関心とはまた別の“複雑な思い”を持たれた方も多いのではないかと思います。
- 運転手の未熟さ
- 未熟な運転手を受け入れた会社(健康診断・適性検査 なし)
- 運行指示書の杜撰さ等会社の管理内容(数々の規定違反)
- 旅行会社とバス運行会社の力関係?
しかし、これらの背景の問題も見えてきています。
- 経費を切り詰めざるを得ない状況
(旅行会社の締め付け?)
(規制緩和による競合会社の増加) - 運転者の不足
(過労傾向) - 運転者の研修不足
- 運転手の高齢化
(給与との兼ね合いで、安く雇える高齢者となってくる)
--国土交通省の2010年度のバス会社119社の調査では、運転手のうち60歳以上が12.6%で、5年間で2.5ポイント上昇したとのこと。
因みに、20歳代は3%。50歳代以上が大半の会社もあるとのこと。
この事故は今の社会の縮図!?
- 会社の経営姿勢
- 社員教育の問題
--促成栽培 社内教育の軽視 - 監督官庁の取締りの限界
- 人手不足の問題
--高齢者に頼らざるを得ない業務
この事故は、氷山の一角?!
私たちの周りには多くの不安要素(組織)が潜在している?!
ハインリッヒの法則は「1:29:300」の比率。我々の周りの潜在リスクは?
いつの間にか「促成栽培」「その場限り」「経費削減(切り詰め)」等々が社会の常識となっている?
今、成果主義という名の下に、多くの人材が使い捨てられる?(人手不足が来るというのに)
これが「失われた20 or 30年?」という言葉に符合するのでしょうか?
「経営資源の乏しい日本が唯一生き残る道は人材」と言われたのは、もう遠い昔の話となったのでしょうか?
少子高齢化に直面し“複雑な思い”が湧いてきます。