はしご作業① 垂直固定はしごを物を持って降りていて、足を踏み外し墜落した災害事例

<災害事例(業界関係書籍より)>

ビルの塔屋に設置された高置水槽を点検後、取り付けられたはしごを下りていて足を踏み外し、屋上床面まで墜落したという事例。
(身体強打、左上腕骨折、休業1ヵ月)

ビルの垂直固定はしごは随所に設けられており、少し危なっかしい思いをしながら、冒険(クライミング)的要素もあり、軽いチャレンジ気分で使われていると思います。
しかし、その気軽なチャレンジ気分の中に重大事故が潜んでいます。
相当の高度差のあるはしごでない限り、命綱の使用もされていないと思いますが---
また注意点としても、“三点支持”の励行を言われる程度だと思います。


垂直固定はしごの上がり下り時の災害防止対策
としては、次のような項目が挙げられています。

  • U字形の丸鉄棒製で、滑りやすい
    軍手を使用しての上がり下りはしない
    履物の靴底の滑りやすいものは使用しない(特に雨天時は注意!)
  • “三点支持” を確実に守る
    正面を向き、両手両足の停止を基本ポジションとし、上下への移動時には三点支持状態を守る。
  • 工具類等は「作業袋等」を使用して上げ下ろしする。

階段の設置が望ましいですが、現実には設置場所等の理由で困難な場合もあります。
垂直固定はしごとして、通常「モンキータラップ型」が設置されていますが、上記のような危険があり、「ケージ(背かご)付きはしご型」への改造が推奨されています。
(高所へ上る場合、ケージ型はしごには、途中に休憩スペース(床)が設けられているものもあります。)

【参考】
労働安全衛生規則518条(作業床の設置等)

  1. 事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
  2. 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則526条(昇降するための設備の設置等)

  1. 事業者は、高さ又は深さが1.5メートルをこえる箇所で作業を行なうときは、当該作業に従事する労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない。
    ただし、安全に昇降するための設備等を設けることが作業の性質上著しく困難なときは、この限りでない。
  2. 前項の作業に従事する労働者は、同項本文の規定により安全に昇降するための設備等が設けられたときは、当該設備等を使用しなければならない。