注射針② モップ作業時、モップに紛れ込んでいた注射針で刺傷

<災害事例(業界関係書籍より)>

床のモップ拭き作業中、モップを洗浄し、手で水分を絞っていたとき、モップ内に紛れ込んでいた注射針で右手中指を刺傷した。
その後、1ヵ月ほど経って、体がだるくなり、発熱、吐き気などの症状が出てきたので、診察を受けたところ「B型ウイルスによる急性肝炎」と診断された。
(B型ウイルスによる急性肝炎、休業1ヵ月 女性54歳)

典型的な注射針災害といえるものです。
病院側の管理の杜撰さという面もありますが、事業者による、注射針災害の危険性のある作業者への「注射針災害の危険性」「災害発生時の報告」等についての教育実施徹底の問題でもあります。
即対応できていれば、軽度で済んだはずです。

病院側では、医療事故防止のため、注射針、注射筒、ゴム手袋、マスク、ピペットや手術衣などは使い捨てとなっていますが、その捨てた物についての管理が大切となります。

刺傷事故を防止するため、次の事項が挙げられています。

  1. 作業服装は、長袖の上位とズボンを使用し、日頃正しく着用する習慣を身につける。
    また、作業靴は、半長靴のようにくるぶしの上まであるものが望ましい。
  2. ゴミの分別収集の徹底を図る。
    医療用器材(注射器、ビーカー、ペトリ等)や薬瓶の破片等で切り傷を負うことが多いので、ガラスの破片などは、袋物類に入れず、必ず金属缶やポリペールなどに収納する。
  3. 廃棄物の収集・運搬作業では、革製の手袋、前掛けなど耐貫通性の高い保護具を使用し、また、ゴミ袋類は、体に接触されないように注意して取り扱う。
  4. 床などに注射針やメス、替刃、ガラス片などの鋭利なもの、および血液などが付着または付着したおそれのあるもの等があるときは、直接手で拾わず、はさみ具やガムテープに付着させて回収する。
  5. 回収したゴミ袋内のゴミを別の袋に詰め変えたり、手や足で押し潰したりしない。
  6. 床の水抜き作業を行うときは、モップに鋭利なものが混入しないよう、あらかじめ除じん作業を励行する。
    また、洗浄したモップは、直接手で絞らず、モップリンガーなどを使用して絞る。

二次感染の防止として、医師や看護師などの医療関係者には、ワクチンの接種がほぼ完全に励行されているようですが、請負作業の従業員については不明です。
なお、厚生労働省の調査によると、医師や看護師などの医療関係者の注射針による自傷事故は、医療関係者の災害の中でも最も多く、その44%が使用の終わった注射針にキャップをするときに発生しているとのことです。
(使用後の針を自動的にカバーできる器具もできているようです)