電気供給者の配電線を停止させる「波及事故」は、毎年の事故総数のうち70~80%を占めており、隣接する施設も停電となり、社会的影響は大きなモノとなります。
波及事故の原因は多様ですが、下記のような事故等が発生しています。
波及事故の特徴としては、事故の9割近くが主遮断装置(CB、PF付LBS等)自体或いはその電源側で発生しているとのデータもあるようです。
保守不備(自然劣化)例
- 引き込みケーブルや変電設備の高圧機器の自然劣化によるもの。
保守不備(他物接触)例
- 高圧機器部分に、ネズミなどの小動物が侵入して接触したことによるもの。
保守不備(保守不完全)例
- 点検不良などの保守不完全によるもの
- 気中開閉器の操作不良による機器焼損事故
- 地絡継電器(GR)の電源喪失には要注意!
- 地絡継電器(GR)の保護範囲外の事故に注意!
作業者過失例
- 建築物の改修工事などに伴う敷地内掘削時のパワーショベル、ユンボなどによる既埋設ケーブルの損傷によるもの。
設備不備(製作不完全・施工不完全)
自然現象(風雨・雷 他)
- 塩分の付着による波及事故
台風等の風雨により、海岸から離れていても、塩分が運ばれてくる。
運ばれた塩分と雨により、絶縁表面に漏洩電流が発生し、火災等を生起することにもなる。
(海岸近くの電気設備は常に潮風に晒されている。)
地絡継電器の保護範囲外での事故の場合、波及事故となる。 - 引き込み線からの侵入雷サージによるもの。
その他(火災 他)
- 受電設備の近くに設置された焼却炉の煤煙による波及事故
煤煙のススが高圧ケーブルヘッド部に付き、降雨によりトラッキング現象が生じ、絶縁破壊を起こした。