前号に引き続き「職長教育講習の内容項目」の「⑨異常時における措置 ⑩災害発生時における措置」について、まとめる(統括する)立場である設備管理責任者の業務と関連付けてみたいと思います。
何らかのヒントとなればと思います。
詳しくは、これをきっかけに、テキストに当たられて、その内容を確認願えたらと思っています。
「職長の安全衛生テキスト」(中央労働災害防止協会)
⑨「異常時における措置」について
異常時における対応はBM設備管理における力量の見せ所でもあります。
勿論、日常の活動において設備管理の立場で、異常の発生を抑える活動が第一ですが、もしも異常が発生したときには、その対応力が問われることになります。
そして、それへの対応策としての「日常におけるリスクアセスメントの深め」ということになります。
管理上のリスクとしては、大きくは広い範囲で「①直面するリスク(2022年6月)」「②リスクの洗い出し(2022年7月)」等で挙げてきましたが、ここでのリスクは設備管理及びそれに付随する環境管理におけるリスクに範囲を絞って(本来の業務範囲として)捉えることになります。
具体的には、災害・事故・故障等のトラブルが挙げられます。
異常は早期に発見できれば、その影響範囲を狭めることができ、日常の巡回点検はそのために行われています。
巡回点検者は、正常値、異常値のフェーズを予め掴んでおく必要があり、巡回はそれとの差異の確認作業といえます。
そして、異常の兆候を察知したときの連絡・対応体制を職場単位で検討しておく必要があり、この直接の対応責任は設備管理責任者にあるということになります。
また、影響が広い範囲に及ぶ場合においては、施設内他部署或いはBM本社サイドのバックアップが必要となる場合もあります。
この点については、施設管理者が作成するBCPとの整合性のある対応を考慮しておく必要があります。
異常の対応おいては、(場合によっては)設備管理の存在意義が問われる事態ともなりかねません。
設備管理担当者が最も心がけておかなければならない事項の一つです。
⑩「災害発生時における措置」について
この項目も⑨と同じように設備管理の対応力が問われる課題です。
テキストに取り上げられている「災害」は、主に「人の負傷等の災害」を対象としていますが、設備管理の立場においては、財産的価値の損失も考慮する必要があります。
この“人の安全”と“モノの安全”についてのスタンスについては、電気設備の管理において示されている事項も参考になると思います。
勿論、「人の安全が第一(Safety first)」です!
電気事業法 第39条(事業用電気工作物の維持)
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。
2 前項の主務省令は、次に掲げるところによらなければならない。
(1)事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
(2)事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないようにすること。
(3)事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
(4)事業用電気工作物が一般送配電事業又は配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業又は配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。
「災害発生時の基本的考え方」としては、下記が示されています。
- 人命を最優先し、先ず被災者の救出
- 爆発、火災等の被害の拡大抑止と二次災害の防止
- 関係機関への連絡
- 原因究明のための現物保存(安全化措置後)
- 類似災害防止のための調査と原因分析
これらの項目は、管理全般においても同じです。
テキストには、その他災害発生時への対応訓練、救急救命処置、災害調査・分析手法等が示されていますが、前記「⑨異常時の措置」と同様に、施設内他部署或いはBM本社サイドのバックアップが必要であり、また施設のBCPとの整合を図った対応策を検討しておく必要があります。
いずれにしても、対応すべきリスク及びその対応策の検討の深めは重要ポイントです。
<以下⑮に続く>