漏水事故対応中、高所部でバランスを崩し、ファンベルトに指を挟まれる災害事例

<災害事例(業界関係書籍より)>

空調機ドレン水が詰まり、下階の天井より漏水が発生。
その対応において、上階の空調機械室で高所部を点検中、バランスを崩し、空調機のファンベルトとプーリーの間に手を挟み、指を切断するという災害となった事例。

空調機のファンベルト部には保護カバーが設置されていなかったようです。
ベルト交換、給油等の作業後、保護カバーを外したままにしているケースもあります。
側面と上面だけのカバーで、裏側から容易に手が入るカバーもあります。
また、高所部へのアプローチは、しっかりとした足場を確保することです。

漏水対応のような急を要する場合、対応を急ぐあまり不安定な足場などに登る場合もあります。
このような非常時の緊急対応作業のケースでは、事故の発生確率は高くなります。
しかし、事故が起これば、対応はなお一層遅れます。
このような、当たり前と思われることが疎かにされるのが非常時です。
また、このケースではドレンの詰まりについて日常のチェックができていれば漏水は発生しなかったことになります。

日頃より、トラブル想定訓練(非常時対応のリスクアセスメント)ができていれば、足場の準備或いはドレン詰まりの早期発見ができていたかもしれません。
また、上記リスクアセスメントに基づく管理事項についてのKY(危険予知)を実施しておれば、リスク認識の上、一呼吸おいての対応ができたかもしれません。

このような深刻な災害が発生しますと、管理体制、教育訓練状況等の不備の指摘が出てきます。
会社は、行政処分等を受けるようなケースも考えられます。
或いは、業務契約上の問題が発生してくるかもしれません。