1974年に動物行動学者M・W・フォックスが、七面鳥の母鳥と毛長イタチの剥製を使って行った実験は、七面鳥の母鳥が1種類の音に極端なまでに頼っているという事実を劇的な形で証明しました。
毛長イタチは七面鳥の天敵で、母親はイタチが近づくと激怒して鋭い鳴き声をあげ、くちばしでつつき、爪でひっかきます。
実際、この実験では、イタチが剥製であったにもかかわらず、紐を使って剥製を母鳥の方に近づけていくと、すぐに強烈な攻撃を受けました。
ところが、剥製の中に小さなテープレコーダーを埋め込んでおき、そこからヒナ鳥のピーピーという鳴き声を流すと、親鳥は剥製のイタチが近づくのを許すばかりでなく、それを自分の翼の下に抱き込んでしまったのです。
そしてテープを止めると、またイタチに対する激しい攻撃が始まったのです。