避難時救助活動について①

BCPにおいては、救助活動までは考察されていないようですが、FCPにおいては避難訓練に含まれる内容であると考えられます。
本格的な救助活動というのではなく、「避難時において救助活動が必要な場面に遭遇したという場合」です。

平時においては救急車を呼び、専門家・専門機関に依頼するということになるのですが、それができないような状況下、或いは救助隊を待つまでの間、救急措置を必要とする場面に出くわした時、どう対応するのかという課題です。

避難時、そこに救助を求める人が居たら--
「自分と家族等の身の安全が確保されている」という条件が付くかもしれませんが、救助活動に取り組むことになると思います。
或いは、救助の応援を要請されるかもしれません。
自分が生き残ることが出来、家族も無事で、そして負傷もしてなくて(或いは負傷していても)活動が出来る場合です。

この救助活動においては、防災士の災害時活動として、「消火活動」「救出活動」「避難誘導」などが挙げられていますが、各自の災害時救助活動においても、これらの活動が要求されることが考えられます。

ビル火災においては、現場確認の後、「初期消火」「通報連絡」「避難誘導」の対応が必要とされます。
初期消火の試み(これで済めば、大事に至らなくて済みます)、消防署への通報、ビル内の人のビル外等の避難場所への誘導となるのですが、大規模災害時においては、救助機関の機能マヒ、避難場所の周囲状況の把握等の考慮が必要となると思われます。

災害時火災については、下記のような記事があります。

東日本大震災では、津波に襲われた街の各所で火災が発生しました。
津波発生時に、壊れた住宅から漏れたガスや燃料に、漏電などで火が着き、津波の浸水域に漂流して延焼を広げました。

阪神・淡路大震災では、同時多発的に火災が発生し、それらのいくつかは市街地大火となって拡大しました。
約560人が火災により亡くなったといわれています。
火災原因の6割以上が電気復旧直後に、破損した電気コードや暖房器具から出火する「通電火災」でした。
(被災時は、1月で暖房器具が使用されていました)
地震発生直後に少なくとも市内(神戸市内)50カ所以上で同時多発的に火災発生。
被害が拡大した原因には、地震により消火栓が使用できなくなったことに加え、出動した車両も渋滞や倒壊した建物に阻まれ、火災現場に到着することが困難になったことが挙げられます。
また、消防職員も被災していたため、消火作業は難航しました。

災害による停電後の通電は待望するところですが、同時に通電による火災を念頭に置いておく必要があります。
その時の消火活動、延焼防止活動へどのように対応すべきかという課題です。

救助活動においては、下記の項目が挙げられています。

<救助活動における現場状況の把握(活動時の自分の身を守ること)>
  • 傾いた建物等危険箇所での活動
  • 消火活動における注意
  • ---
<被災者への救急処置対応>
  • 救急箱の確認
  • 止血や骨折、やけどなどの応急手当の方法
  • 心肺蘇生法の訓練
     正しい人工呼吸や心臓マッサージの方法
     (AEDの使い方)
<救助活動時の服装>
緊急時活動服装
From『FMとくしま 防災ハンドブック2020』

事前に準備しておかないと、その場では間に合いません。

<救助活動時の必要工具等>
  • 毛布
  • バール
  • 軍手
  • 鉄の棒
  • ジャッキ
  • ハンマー
  • 鋸(のこぎり)
  • スコップ
  • ドライバー
  • ---

救助活動については、公的機関等の組織に負うところが大であると思いますが、身近に救助を求める人がいれば積極的に対応していかなければいけないと思います。
ただ、自分がその救助活動に伴う二次被災を引き起こさない(巻き込まれない)注意が必要です。

東日本大震災の発生した夕方、津波が押し寄せてくるかもしれないということで、潮位の上昇による避難の報道が次々と流れていました。
あるビルの管理者は、土嚢をビル開口部に運ぶ作業をしていましたが、急に胸の周りが苦しくなり、救急車を呼ぶ事態となりました。
幸いに、ことなきを得たのですが、自分の身を配慮して、ムリの限度を超えないことが必要です。
(後になって言えることですが---)
因みに当筆は、その救急車に病院まで同乗しました。

いずれにせよ、いろいろな事情が錯綜しての難しい局面での対応になると思います。