⑥ 具体的な危険源(ハザード)分析法の例等について

個々の作業と危険源との具体的な関係についての考察には、危険源(ハザード)分析法として以下のような手法が挙げられています(参考として例示してみます)

●設備機器管理における異常時対応のハザード分析
  • HAZOP(Hazard and Operability Study)
    非定常時における運転操作の問題点を分析する手法。
    マニュアル等に反映させる。
  • ホワット・イフ/チェックリスト(What-if/Checklist)法
    安全確保のための組織、管理体制、運転操作、保全などにおけるハザード分析手法。
    運転管理面における訓練、マニュアルの管理、記録管理等に応用される。
  • FMECA(Failure Mode,Effects and Criticality Analysis)
    コンポーネントの潜在的な故障モードに起因する上位システムへの影響及び危険度を解析する手法。
●人に関わるヒューマンハザード分析
  • JSA(Job Safety Analysis)
    諸作業の作業手順を分析し、その作業に関連する機器・装置・施設等に潜在するハザードを明らかにする手法。
  • チェックリスト法
    ハザードを見落とすことなく特定するため、作業の各段階における各種ハザードをチェックしていく手法。
  • ホワット・イフ/チェックリスト(What-if/Checklist)法
    安全確保のための組織、管理体制、運転操作、保全などにおけるハザード分析手法。
    運転管理面における訓練、マニュアルの管理、記録管理等に応用される。
●組織に関わるハザード分析
  • ホワット・イフ/チェックリスト(What-if/Checklist)法
    安全確保のための組織、管理体制、運転操作、保全などにおけるハザード分析手法。
    運転管理面における訓練、マニュアルの管理、記録管理等に応用される。

EC機械指令附属書Ⅰ「機械及び安全部品の設計と製造に関する健康と安全の必須要求事項」で製造業者に対して下記のような予見可能なユーザーの誤使用について記されています。

「機械を設計し製造するに際して、また取扱説明書を作成するに際しては、製造者は機械の正常な使用法だけでなく、合理的に予見できる使用法についても考慮しなくてはならない。」

以上を保守管理業務に置き換えて考えてみますと---
「保守管理における予見可能性」として、「通常起こり得る“異常状況”は予見可能な範疇にある」となります。
「通常予見できるトラブルについては、建築物管理の範疇にあると見なす」ということになり、管理を請け負うということは、それへの対処法を含んでいると見なすことができます。
つまり、管理レベルの差異を強いアピールポイントとすることができます。
管理責任を請け負うという観点に立てば、リスクアセスメントは不可欠な要素となります。

リスクアセスメント手法を活用して管理計画を進めていくことがポイントとなります。
現場で行われている作業を網羅して、それら作業のリスクをベースにした重点管理ということになります。
事故トラブルを多く経験しているほど合理的で重点的な管理配分ができるという面もありますが、経験に重きを置き過ぎると、経験されていないリスクが盲点として残留していることも考えられます。
そこで、現場で行われている作業の網羅に努め、それら作業のリスクを洗い出し、それをもとに予見できるトラブル等について、「影響度」と「発生頻度」・「回避難易度」等の尺度でリスクを見積り評価し、そのリスクの大きさを考慮して重点管理をしていく必要があります。
そして、それらの検討結果は、年間計画等の管理/運営(PDCAサイクル)へ反映させ、マネジメントシステムの充実へとつなげていきます。
また、これらの検討過程は、オーナーサイドをはじめ関係者等への説明責任を果たすうえでも活用出来ます。