ドアのくつずりで転倒した災害事例

<災害事例(業界関係書籍より)>

部屋へ入ろうとして、入口ドアの下枠(くつずり、高さ約1cm)につまずいて転倒した。
その際、手をついて体をかばったが、左膝を強打し、膝蓋骨を骨折した。
(膝蓋骨の不全骨折、休業1ヵ月 51歳)

転倒災害は多く発生しています。
このケースは「歩行通路の障害物(高さ1cm)につまずいた」というものです。
ドアの下枠は、通行する人に踏まれることを前提に設置されています。
「高さ1cmで、表面を滑らかにしておけばつまずきも起きないだろう」という前提で設置されたものだと思います。
しかし、それでもつまずいての骨折災害です。
“1cm”はバリアフリーの許容範囲内と解釈できるような高さです。
すり足状態で歩いていたということになります。
高齢になると歩くとき足の上げ方が少なくなるといわれますが、この被災者は51歳です。
しかし、「本人の不注意」ということで片づけてしまうのも躊躇されます。

転倒災害防止対策としては、一般的には次のような項目が挙げられています。

  • 作業通路の床面にある突起物は、取り除く。
  • 作業者の作業行動範囲内の床面は同一平面とする。
  • 行動通路には物を置かない。
    やむを得ず置く場合は、注意喚起表示をする。

「足腰を鍛える」「設置者(設計者)はできるだけ平面にする」という努力目標は挙げられますが、一般論で終始します。
このケースの場合は「ケガは本人持ち(本人の不注意)」ということで終わりそうですが---。