組織事故・トラブルのメカニズム ②-1

樋口晴彦氏の文献「続・なぜ、企業は不祥事を繰り返すのか」は、組織事故・トラブルについての“気づき”と“認識の深め”、そしてそれらへの判断の指標を与えていると言ってもいいと思います。
書かれている教訓的な内容をピックアップし、自戒も込めて筆者の思いを少し述べさせていただきたいと思います。

トップダウン型の成果主義的経営

中小企業においては、トップダウン型の経営はむしろ必要な場合も多いと思われますが、成果主義onlyでは行き詰まるということです。

トップダウン型経営者の事業拡張時に陥りやすい傾向

社内の状況を十分に分析・評価せず、社外の評価で判断してしまう傾向に陥ることもあるということ。

不祥事等の再発防止対策について

事故・災害への対応においても、現場における直接的な対応で終わり、その背後にある管理的要因とか企業文化(根底には経営者の理念)への反省にまで検討がなされることは少ないのが現状ではないかと思われます。
真面目な人が「組織人」としての立場に縛られて、“心ならずも”不祥事を犯してしまう--
このような事例に出会いますと、ある経営者の言われた「経営者は、社員を犯罪者にしてはいけない」という言葉を思い出します。

天下り組織の陥りやすい弊害

虚偽報告は倫理的に許されないだけでなく、長期的視点からも、その代償は大きく、結果として「割に合わない」という認識を組織として確立する必要がある。

下請けへの無理強い(場合によっては元請の都合に合うように不正の強要)も同じような関係となると思われます。
--発注側(元請等)の課長と、下請け側の経営者というような関係。
(下請け経営者の柔軟な対応力で何とかもっている状況)

不正が起きる原因(傾向)

経営トップが興味を示さない部署、或いは専門性が必要なため同一の管理者が長く居留まる部署においては、全社的なサポートが手薄となり、不正が起きる温床ができやすくなる。

ネット炎上への対応

「絶対に」とか「完全に」とかいう経営者の精神論的発言は、現場にその無理な対応を押しつける(責任転嫁する)ことになりかねない。

戦略の教条的な実践の負の側面

企業オーナーの権威が強いような場合、社員が意見を差し挟むことが困難な状況が生まれ、根源的なリスク要因を抱え込むことにもなりかねない。

OJTに依存しすぎることの短所

上記の欠点を補うため、(教育事項を整理して)座学等で業務の概要や理論についての教育が行われていますが、実務担当者任せの教育に偏って、教育が不充分になっている組織も考えられます。

異常時対応体制について

危機管理で大きな失敗を犯さないためには、事前の準備が何よりも重要となる。
(リスクアセスメントの必要性)
寧ろ、初期段階で様々なトラブルを経験することは、検討を深める良い肥やしになる面もある。
「難産の子は健やかに育つ」

情報の管理

情報管理の重要性が言われて久しいが、個々の企業においてはその対応に大きな差がある。
経営(経営者)の方針にもよるが、情報管理の拙さで自企業が損害を被ることはさておき、顧客会社等への被害は最小限に抑える情報の危機管理は強く求められていると考える。
思わぬ組織管理上の弱点で、多大な被害、迷惑をかけないように、いつも狙われているという(窮屈で切ない世の中ではあるが)現実の認識が必要ということになります。

権威主義との戦い

権威勾配ということを言われます
・建築現場における(有名)設計者と施工者の関係
・飛行における(ベテラン)操縦士と副操縦士の関係
・医療現場における医師と医療従事者の関係 等々
重要なのは『事実・中身』という認識!

戦略的対応を深めているか

BCP(事業継続計画)は災害対応のイメージが強いが、その本質はリスクマネジメント!
『火事を未然に防ぎ得た者は賢者である。燃え始めた火事を身を挺して消し得た者は勇者である。』
『事前の一策は事後の百策に勝る』
という
先輩のことばもあります。