「災害想定訓練」については、今までのFCP策定において検討してきた内容を、訓練をして実地の活動に移していくということがテーマとなります。
BCPでは“BCPの定着”として下記の「災害想定訓練の充実・実施」の記事を載せています。
教育・訓練計画の充実
短時間でも定期的に行うこと
計画のポイント
・課題設定
・課題に沿う被害事例の想定(時期・時刻・社内・社外等)
・時系列シナリオの検討
※BCP展開は、設備管理/施設管理業務とも深く関連するため、それらの業務視点からの積極的なアピール活動が望まれます。
従来の避難訓練への組み入れ
従来実施している、避難訓練、消防訓練、安全衛生教育等への、安否確認訓練や事業継続のための初動訓練(緊急対策本部の参集等)に組み入れを考える。
写真・携行カード等の活用
写真や図面を多用した「緊急時にすべきこと」の社内複数箇所掲示や、全従業員にポケットサイズのBCPカードを配付する。
⇒企業のBCPに沿った「(従業員携行カード(BCPカード)」の作成
⇒BCPカードによる訓練の実施
各現場の状況の把握・確認
各現場にBCPに関する事項(提案、不安等)のアンケートを取ってみる。
--現場責任者と従業員に分けるとよい
※各現場との接点を多く持つことは「リスクコミュニケーション」の充実とも言えます。
初動対応フロー図の作成活用
各業務・作業の手順書に匹敵
安否確認・集計表の作成
現場毎の勤務員リスト(勤務状況を含む)の作成、主要責任者の携行
備品リストの作成、充実
定期的なチェック(関係部署)
主要連絡先リストの作成、維持
各部門責任者、現場責任者
“場”のKYTの深化
一歩進めて「“場”のKYT」(個々の“場所・場合”を想定したリスクアセスメントをもとにした危険予知訓練)として、深化させていくことも考えられる。
訓練の目的は、策定通りの行動の徹底だけでなく、対応行動のスピードアップ、行動を遅くする要因(ムリ・ムダ・ムラ)の洗い出し、そして“行動の可視化”へのアプローチであることを認識しておく必要がある。
訓練においては、今までのFCPにおける検討により、以下のような想定が個々の場面でいろいろと浮かび上がってくると思われます。
<「安全ゾーン」と「避難ルート」>の例
- 事前に想定していた「安全ゾーン」への移動
--その時間の目安は5~8秒程度(緊急地震速報から揺れ出すまでの時間)と言われています。 - 事前に想定していた「避難ルート」を選択する
--それぞれの場所における避難ルートの事前検討(ルート上の障害物をなくしておくこと)。 - 夜間の避難を想定してみる
--停電発生、暗闇の中の避難(懐中電灯/充電式ライト等の必要性)。
--暗い部屋で照明を点灯しようとしてスイッチを探す経験はいつもしています。
小さなグローランプが光っていれば、助かりますが、それがなかったら手間取ります。
たとえ、枕元に懐中電灯を準備していたとしても、それが地震で飛ばされてしまっていたとすれば大変です! - ----
上記に引用したBCPの内容は、FCPにおける避難訓練の検討においても活用できます。
避難訓練とは直接は関係ありませんが、下記のような記事がありましたので付記します。
参考<生活排水の排出抑制措置>
建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(令和2年6月)
国土交通省住宅局建築指導課
経済産業省産業保安グループ電力安全課
に「生活排水の排出抑制措置」についての記載があります。
「(共同住宅の)各居室における生活排水の排出抑制措置」
停電でポンプが作動せず雑排水槽・汚水槽からの排水ができなくなった場合や、多量の降雨により合流式下水道の容量が逼迫した場合などは、各居室において通常どおり生活排水の排出を継続すると、雑排水槽や低層階のトイレ等の排水設備からの溢水のおそれがある。
このような場合は、各居室における生活排水の排出を抑制するような注意喚起を行い、その徹底を図る必要がある。
具体的には台所・風呂・洗面・トイレの使用停止、排水が不要な携帯トイレの利用や、避難所などに設置される上下水道の利用等がある。
また、在館者に対する注意喚起を行う際の伝達方法等を関係者間で事前に確認しておくことも重要である。