リスクベースド・メインテナンス{RBM:Risk Based Maintenance}の視点
「建築設備管理」及び「建築物の安全衛生管理」における{災害&事故・故障・トラブル等}への対応は、計画・設計段階における対策が第⼀です。
この計画・設計段階において、その後の建築物におけるリスク要因の80%以上が決定づけられると⾔われています。
しかし、対応すべき課題或いは対策⽅法が分かっていても、その実施にどの程度まで費⽤を投じられるかの問題があります。
つまり設計時点で、リスク要因が残存していることがあり得ます。
また、施⼯段階においても、これらのリスク要因への対応には限度があります。
加えて、この施工の段階で、新たなリスク要因が発⽣することもあり得ます。
そして、建築物の竣工時には、これらの残存したリスク要因が維持管理段階へ引き継がれることとなります。
これらのリスク要因が、建築物の運用段階において、時間の経過と共に、いろいろな問題となって浮かび上がってきます。
※ある設備運用上のトラブルをきっかけに、別の施工上のトラブルが表出し、その復旧の困難性と時間を倍加したという事例もあります。
また、維持管理段階においても、管理関係者等によるヒューマンファクターに起因するリスク要因が新たに発⽣することもあります。
この維持管理段階における「災害&事故・故障・トラブル・非効率」或いは「ヒューマンエラー」等のリスク要因への対応をリスクアセスメント⼿法を活⽤して深めていくことが必要です。
リスクアセスメントにより、「災害&事故・故障・トラブル」或いは「ヒューマンエラー」対して、その「影響度(影響の範囲・経済性等)」「発生頻度」「回避可能性(技術的対応困難性等)」を評価軸として、そのリスクのメンテナンス上における重要度をランク付けし、リスク対応策を個々のリスクレベルに応じて検討していく「リスクベースのメンテナンス(RBM)」が必要となります。
「あれもこれもの対策」「完全徹底、絶対安全のかけ声」等は精神面では⼼地よいですが、現実には不可能です。
また経済的でもありません。
現場における潜在的危険性(リスク要因:危険性又は有害性要因)の把握に努め、それへの対応検討を一つひとつ積み上げていき、残ったリスク(残留リスク)については継続的に管理していくというリスクアセスメント活動が必要になります。
建築物及び建築設備についての管理活動として、リスクベースド・メンテナンスの活用をお勧め致します。