雑誌「安全と健康」2017年9月号に、東京工業大学の中村昌允先生が、神奈川県川崎市危険物課が危険物施設事業者に対して行ったアンケート結果から「事故増加の要因をまとめた表(下表)」を記されています。
危険物施設における事故の傾向と原因について調査したものです。(82社から回答)
危険物事故増加の要因 | 比率(%) |
---|---|
1.施設の長年の使用による老朽化 | 75.6 |
2.多様な事故・トラブルを経験した人材の減少 | 54.9 |
3.異常が発生することを予測する想像力の欠如 | 48.8 |
4.異常を覚知した場合の対応能力の不足 | 42.7 |
5.異常へ繫がる軽微な変化の兆候の見落とし | 42.7 |
6.職場の人員削減等のスリム化による作業の合理化・簡略化 | 36.6 |
7.点検が困難な場所における腐食の進行 | 34.1 |
8.設備の自動化による危険予知能力の低下 | 32.9 |
9.近年の運転員・作業員等が持っている資質の変化 | 30.5 |
中村先生は、次のように記されています。
「この結果は、最近起きている多くの事故に共通する要因で、
①異常事態が発生することに対する想像力の欠如
②異常事態への対応能力の不足
③異常事態に繫がる軽微な兆候の見落としなど、
一人ひとりの労働者の資質の低下に対する対策を講じていく必要がある。
ポイントは、リスクアセスメントと一人ひとりの危機意識である。」
表の各項目には「対応策の重要なヒント」が示されていると思います。