熱中症<参考①> 熱けいれん

○体内水分

人体は、65%が水分で構成されており、細胞内に約50%、組織内に約20%、血液内に7.5%、骨に約30%も含まれていると言われます。
体温調節作用も、水が大きな役割を担っています。
わずか1グラムの汗で約600kcalの熱量を体外に放出できるので、発汗は極めて有効な体温調節機能です。

○水のとり方

「今日は暑くなる」と見込んで、作業前に大量の水を飲んも、小便量は増えますが、作業中の汗はそう増えません。
一方、適当に小分けして水分をとりながら作業をすると、汗は継続して出て体温は上がりにくくなり、また、心拍数も上がらず心臓への負担も少なくなります。

○体内塩分

ヒトの細胞には、一定の濃度の塩分が細胞の周りに含まれていることが必要です。
その塩分の濃度が下がると、体の動きが弱まったり、動かなくなったりします。
汗をかくと体内の塩分は出ていきますが、塩分減少には自覚症状がありません
そのため、、大量の汗を排出すると、突然体内の塩分不足を生じ、意識障害やけいれんが起こることがあります。

○熱けいれん

手足や腹部の筋肉が、疼痛を伴い発作的にけいれんを起こしたら、「熱けいれん」の可能性があります。
この場合には、塩分と水分を補給する必要があります。
補給は、生理的食塩水の濃度(味噌汁やスープ程度の濃さ)が理想的ですが、スポーツドリンクでも代用できます。
なお、けいれん発作は、作業中ばかりでなく、作業終了後も起こることがあります。

○水中毒

大量の水を一気飲みすると、体の塩分バランスが一時的に狂うことがあり、「水中毒」という症状が出ることがあります。
高齢者や子供の場合、塩分の調節がうまくできにくい傾向があるので注意が必要です。
水分の摂りすぎで体がぐったりして元気がないときなど、味噌汁を飲むと体調が回復することがあります。
参考記事:熱中症<参考⑧> 水分過剰摂取の害