熱中症<参考②> 汗のかきかた

○発汗漸減

汗が多量に出たときや、湿度が高くて汗の蒸発が妨げられると、汗は皮膚面に溜まり、流れ落ちるだけになります。
このような状態で汗をかき続けていると、次第に汗の量が減ってくることになります。
この汗の減少は、次のような順序で起こります。

  1. 出た汗が蒸発しきれず、皮膚が汗で濡れた状態になると、皮膚の表面、つまり表皮の最上層の角質層がだんだんふやけてくる。
  2. 汗の出口(汗孔)は、表皮の角質が環状に取り巻いているが、その主成分のケラチン(蛋白質)がふやけるため、汗孔が次第にせばまり、ついにふさがってしまう。
  3. そのため、汗は次第に減少し、ついには止まってしまう。

この現象は“発汗漸減”といわれています。
したがって、乾いたタオルなどでよく拭って乾かしてやれば、再び汗が出てくるようになります。
なお、気温が高くても湿度が低ければ、汗は素早く蒸発するので、発汗漸減は起こりにくくなります。

○無効発汗

また、皮膚が濡れた状態になると、汗が出ても蒸発量は変わらないから、体からの熱の発散量が増えず、汗をかいてもその汗が有効に作用せず、汗のかき損になってしまいます。
このように出た汗のうち蒸発しない分を“無効発汗”といいます。
この点では、発汗漸減は、無効発汗を減らし余分に体液を失わずに済む合理的な作用ともいえます。