<災害事例(業界関係書籍より)>
階段の清掃において、ごみを拾おうとしてかがんだ時、バランスを崩し、前のめりに数段転落した。
体をかばって階段の踏み面に手をついたが、顔面を階段の角で強打した。
(顔面打撲:前歯が2本折損、唇6針縫合 休業1週間 女性60歳)
傾斜した場所で、ごみを拾おうとした不安定な姿勢でバランスを崩した転落事故です。
若い人は不安定な姿勢でも足の踏ん張り等で持ちこたえられますが、高齢になると筋力が弱くなり、ふらつきが生じ、体のバランスを崩すことがよくあります。
今回のケースでは、かがむときの姿勢がポイントとされています。
あまり膝を曲げずに、前屈みの姿勢となり(頭部が臀部より低くなり)、安定性を欠いた姿勢でごみを拾おうとしたことが原因とされています。
防止対策としては、「十分に膝を曲げ安定性を維持する姿勢(頭部が臀部より高くなる姿勢)をとること」とされています。
なお、高所からの墜落危険のある下記のような作業においては、特に作業姿勢に注意が必要です。
- 荷を持つとき(荷に引っ張られて体のバランスを崩さないように)
- 作業中において突風の危険があるとき
- 他の 人 or 物(特に動く物)に接触する危険のあるとき
この「十分に膝を曲げ安定性を維持する姿勢」は物を持ち上げるときの腰痛予防としても言われる姿勢です。
歩く等の身体を動かす“推進筋”だけでなく、臀部の筋肉のような“抗重力筋”を鍛えておくことも安定した体位を保つうえで必要であると言われています。